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相続登記の義務化
これまでは相続登記は任意でした。
そのため、昔からの慣習やずっと住み続けているから不都合が無いなどの理由により、
相続登記を行っていない不動産は多く存在しています。
ところが、令和3年の法改正により、相続登記が義務化されることになりました。
(施行は3年以内とされていますので、遅くても令和6年)
この法改正により、土地や建物を相続したことを「知った時から3年以内に」相続登記を行わなければならず、
正当な理由なく行っていない場合は罰則(過料10万円以下)が科せられることになります。
今後相続が発生し、相続登記が義務であることを知っていれば、特に心配することではないですが、
気になるのは、法施行日に相続登記未了となっている不動産も対象になるところです。
つまり、ずいぶん昔に遺産分割などは終わって、そのまま相続登記をしていない不動産がある場合は、
法施行でいきなり罰則の対象になる可能性があります。
法施行日は3年以内となってますが、その日は決まっていません。
相続登記がお済みでない方は、早めに登記申請を行っておきましょう。
なお、申請する際には相続人の必要書類が出てきます。
取得するのに、または取得のための手続きに、時間を要する方もいらっしゃると思いますので、
早め早めの準備をしておくことをお勧めいたします。
不動産の分割(相続)
相続対策・準備として不動産を分割することを検討している方もいらっしゃると思います。
その時に相談する相手は誰でしょうか。
相続だから弁護士?税理士?
いえ、分割を考えるのであれば不動産業者へ相談するのが良いと思います。
不動産業者は不動産の専門家です。
分割した不動産に不備が出ないように、また将来への活用や売却時に失敗のないようにするために、
不動産業者とよくお話をすることが最善かと思います。
ですが、お付き合いの長い税理士などを窓口に、不動産業者を紹介してもらうことも出来ると思いますが、
不動産業者も各種の専門性を持っており、例えば、大きく分ければ、「売買」「賃貸」といったところです。
かつ、売買の専門業者だとしても、新築分譲や新築マンションの販売ばかりを行っているところでは、
その取引自体の業務は問題なく行えたとしても、分割や活用と言ったところでは、力が及ばないこともあります。
紹介してもらった手前、断れなくなってしまい、結果、後悔することのないように、
また、その後も不動産業者とは長い付き合いになると思いますので、
ぜひ、ご自分の足で信頼関係が築けそうな、会社ではなく、担当者を探してください。
大手だから「安心」という考えは危険です。
会社規模は安心材料のひとつにはなりますが、個に対しては他と横並びです。
不動産を良く知っている、長く付き合えそうな担当者が最善です。
遺産分割の方法
さて、遺産分割といっても相続財産には多様なものがありますので、
単純に分割することが難しいものもあります。
例えば、不動産は切り分けられるものではないため、
(土地は分割できるが、分割の仕方によっては分割後の各土地の評価が変わる場合がある。)
相続人が土地や建物を相続した際は、他の相続人への公平を図る必要があります。
遺産分割の方法には主に3つあり、相続財産の性質や相続人の状況によって、
適した方法を選択することが重要です。
①現物分割:遺産そのものを現状のままで分割する方法。
②代償分割:特定の相続人に相続分を超えて取得させ、取得者から他相続人へ代償金を払う方法。
③換価分割:相続財産を換価し、その換価代金を分配する方法。
なお、特に②③については相続人の状況や時間的なリスクなどがありますので考慮する必要があります。
また、全部(一部)について共有取得という方法もありますが、先々のことや実際に起こり得る事案に対して、
共有者全員の同意が必要になったりと、様々な問題が引き起こされる可能性が出てくることも
考えられますので、その場の感情等での安易な共有は避けるべきと思われます。
なお、遺産分割協議書に記載しなければならない内容がございますので、
事前にご相談されることがよろしいと思います。
相続未登記
本来相続が発生した際には、相続に関する登記が行われますが、
古い慣習や何かしらの事情により、そのまま利用されてきた不動産は登記されていない場合があります。
そういった不動産が改めて発生した相続により、相続登記や売却を行おうした際に、
相続人を遡って手続きをしなければならず、場合によっては、多くの時間も費用も要する事態となります。
例えば、昔ながらの慣習で「長男が家を引き継ぐ」というケースの場合、
本来の相続人は長男だけではないかもしれませんが、暗黙の了解かそういうものだという認識のもと、
特に問題なく、形式上、相続が完了しているかもしれません。
こういったケースでは、長男が家を引き継いだ時点で相続登記を行っていれば問題ありませんが、
もし相続が未登記の場合で、この長男が亡くなった場合、この長男の相続の時までは少なくとも遡り、
当時の相続人から承諾を得る必要が出てくる場合があります。
当時の相続人が今も存命であれば話は早いかもしれませんが、
そうでない場合は、さらに手続きの幅が広がることもあります。
そうならないためにも、特に古くから所有している不動産や引き継いだ不動産については、
早い段階で状況を確認しておくことが望ましいと思います。
ひとまず、法務局に行き、全部事項証明書(登記簿謄本)を取ってみましょう。
所有者が自分になっていれば、先々での大きなトラブルには発展しないと思います。
土地の評価
土地を所有していらっしゃる方は、自分の土地が今いくらなのか知りたいと思います。
そのため、不動産会社等に査定の依頼をされた方もいらっしゃると思います。
売買を目的に査定(評価)をされた場合は、いわゆる近隣相場というものをもとに算出されています。
市場に売り出すことを目的として査定(評価)を行っています。
また、土地にかかる相続税を知るための査定(評価)を目的にされる方もいらっしゃると思います。
この場合は、市場で取引されている価格(近隣相場)とはまた別です。
相続税のための評価額の算出には、国税庁が発表している「路線価」をもとに補正等を行い評価額を出します。
金融機関や税理士などがいう評価額とは概ねこのことです。
近年では、地域によって市場での取引価格と路線価とにかなり大きな差が出ているところもあり、
土地所有者としては、悩ましいところだと思います。
土地の評価が低いのは、相続税には助かる話です。
でも売却時には悲しいお知らせです。
ご興味ある方は、一度、国税庁のHPで路線価図をご覧になってみてください。